ミスティックリバー 映画ネタバレ感想
大人版スタンドバイミーと言われている、クリントイーストウッド監督のミスティックリバー鑑賞しました!
普段はこの監督最高とかあまり言わない私ですが、クリントイーストウッドは大好き。今まで見た中ではハズレ無いんじゃないのって思える監督です。(もちろん俳優としても渋くてかっちょいい。)
あらすじ
「もしあの時…」
幼馴染みのジミー・デイブ・ショーンが路上で遊んでいると、警官を名乗る男が近づき、警察へ行くと言いデイブを車に乗せて行ってしまう。だが男は警官ではなく誘拐犯で性的虐待目的で連れ去ったのだった。デイブは監禁された4日後に自力で逃げた。
それから25年後。ジミーはコンビニの店主、デイブはサラリーマン、ショーンは刑事になっていた3人は若い娘が殺害された事件で再会する。殺害されたのはジミーの娘だった。
ジミーは娘を殺された怒りから独自に犯人捜しをはじめ、デイブは少年時代の誘拐を思い出し、ショーンは刑事として事件解決に努めていたが。
以下ネタバレあり私の感想
息が詰まる感覚
見ていてこんなにも息苦しくて、もどかしくて、「あの時…」と思う映画は無いと思います。なんなら私が出て行ってこれはこうで、誰がこうなんだよ!!ってみんなに説明してあげたくなるくらいの息苦しさ。
特に見ていて辛かったのが、ジミーとデイブ、そしてデイブの妻であるセレステの心情がそれぞれ描かれているシーン。けして言葉に出して「こうなんだ」って言うわけではないけど、俳優さんのすごさって言うんですかね、見ていて3人がどう感じているのか、それを上手く表現(発散)できない自分にもどかしく思っている、っていうのがヒシヒシ伝わってきました。
特にデイブに対しなんでもっとちゃんと言わないんだ、って最初は思いましたが、見終わった後では言わないんじゃなくて言えない、だし、言ったとしてもみんなちゃんと聞いてくれない(理解してくれない)んだなぁって。
私にも過去に同じような経験を何度もしました。自分が直面した事実、思っている事を誰かに話してもそれを受け取った人は私とはまったく違う受け取り方をしている、伝えたかった事の逆としてとらえているという事を。そうじゃないんだ、私が言いたいのはこうなんだって言っても理解してもらえない事を。それは今まで自分が経験してきた事、自分の思想や価値観にとって同じ話しを聞いても受け取り方がまったく違うということですよね。
デイブが幼少期に受けた虐待は誰にも分からないし、デイブ自身も自分と他人がどう違ってどう説明すれば分かってもらえるか?そもそも分かってほしくないのか?という事なんじゃないでしょうか。
どこかに「自分はみんなから理解されない」と思っているデイブに共感していたっていう事もあり、余計見ていて辛く感じたのかもしれません。
余韻
派手な映像は無いし、アクションがあるわけでもない。美人な女優さんが登場したり若くてイケメン俳優が筋肉アピールするわけでもない。見せ場はここだっていうシーンもないしどちらかと言えば始終暗い雰囲気。
救いのない話しだからっていうのもありますが、だからこそ、余韻が凄いですよね。
登場人物のリアルさを感じるというか、こういう生き方をしてきた人なんだなぁ、と想像できるというか。
なので見終わった後に「誰かの人生を覗き見た感覚」とか「ある事件の一部始終を全部知って心が受け止めきれない感じ」が余韻として残るのかな、と思います。
映画「 ミスティックリバー 」総評
85点。
憂鬱な映画好きなら好きな作品だと思います。
登場人物それぞれにもどかしい部分があって、でもこれからもその部分は持ったまま残りの人生を送るんだろうなぁ…。