草原の実験 映画ネタバレ感想 パッと見は美しいけれども。
草原の実験見ました~SNSで「鬱展開系のもう二度と見たくない映画」として紹介されていたので、鬱展開好きの私は意気揚々と鑑賞です^^
美しい実験作
実験の意味について存在感が大きいのはラストシーンですが、このセリフが無いという映画の作り方も含めた実験なんじゃないかな?と思いました。
セリフが無い分、目から入ってくる情報に集中することが出来ます。
草原の小さな花、ベンチ、地平線、風に揺れる白いカーテン、淡い空の色、少女の茶色い瞳。。。目で見る情報がすごく瑞々しく美しい。こんなにも美しく素朴な日常があるんだなぁなんて。
映像が綺麗な映画というより、美しいものをただ美しいものとして映像にしているという感じなんです。作り物の美しさ感が無いというか、素朴で日常で健気なその物が持つ美しさと言うんでしょうか。
セリフが無い事については、よく「思ってる事は言わないと伝わらない」って言いますが、この映画は真逆の「目は口ほどに物を言う」ですね。
少年2人が少女に微笑みかけるのに対し、少女はあまり表情を変えません。後半、金髪の少年に対し少し表情を緩めるのが印象的でした。
美しいけれど悲しい現実
美しい映像に隠された現実は、核実験エリアに住む少女の生涯を描いた話しです。
どこで何の仕事をしているかも分からない父親が戻ってくるのを待つ毎日。
少年が寄せてくる好意にささやかな幸せを感じる事もあった。
ある日父親が死んだ。
1人で生活できなくなった少女はフェンスの向こう側に何があるか知らないまま、近くに住む少年の家へ嫁入りすることになった。
唯一の救いであった金髪の少年と過ごす時間もないまま、世界の何も知らないまま、自分の意志で何も出来ないまま爆発実験に巻き込まれ一生を終えた。
美しく淡々と描かれた映像の「美しさ」以外の部分を見れば、これが現実です。
これが鬱映画と言われる部分ですね。鑑賞直後は美しい映像に対する感想しか出てきませんでしたが、時間をかけて消化していくうちに「これはなんて鬱映画なんだ…」と気づきました。
少女は何も知らないまま死んでいった。けれど知らない事が可哀相なのか?むしろ知らないからこそ美しく終えられたのか?とモヤモヤします。
草原の実験 総評
80点。
鬱映画だけどもう1回見たくなるくらいの映像美でした。
例えて言うなら、可愛い絵のアニメなのにめっちゃ鬱ストーリーのやつって感じ。
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